コロナ禍のニューヨーク市から
ニューヨーク市公園局 島田智里
近年、地球温暖化が深刻化し、ニューヨーク市でも環境に優しいまちづくりが注目されるようになりました。
公共インフラの一つである公園は、1990年以降に始まった再開発を経て治安が改善され、今では毎年大勢の人が訪れる憩いの場になっています。
都心には341haにわたり緑彩るCentral Parkがあり、また、近年Highlineに代表される既存のインフラを用途変更した新型の公園ができるなど、市内至る所に多様な形態の公園空間が展開されています。
ニューヨーク市には四季があります。冬は長く厳しい寒さが続きますが、春になりサマータイムに切替わると街中に色や香りが甦返り、まちも自然も大変活発的にになります。
そんな中「新型コロナウイルス」の感染が市を襲い外出制限令の渦中にある今、様々な経済活動も停止しました。本来ならば、平日も週末も人で溢れる街が完全に静閑し、まるで時が止まったかのような恐怖心すら覚えます。
5月に入り感染速度が先月より鈍化したとはいえ、予断を許さない状況が続いています。
しかし急転した社会とは別に季節が冬から春になると、家の近所では高木の街路樹が歩道を覆うように大きな樹冠を広げ始めました。
運動のため公園に行くと、樹木の緑が太陽に輝き、冬の間不活発であった芝生からは土や草の匂いがします。
繁華街や住宅街は閑散とする一方、自然に囲まれ人との距離が保てる大規模公園では、運動や散歩の目的にマスク着用の来園者が訪れています。
また、利用者の安全強化のために、通常より厳重な消毒作業やソーシャルディスタンスの執行に励む公園局員の姿も見られます。
公園のレイアウトによっては距離確保が難しく、閉鎖、人数制限、警察の取締りが余儀なくされるものもありますが、見渡せばそこにはいつも通りの季節の変化が訪れています。自然界は人の活動に左右されず、これまで通りの営みが継続されることを改めて認識しました。
現在も深刻な事態が続き私達の社会は今大きな変化の時代を迎えていますが、美しいニューヨーク市の街並みと活き活きとした生活が戻って来ることを願って近況報告とします。
2020年5月10日