コロナ禍の台北市から
東邦レオ株式会社 台湾支店 成本花詠
台北市では3年連続サクラの開花が乱れました。地球温暖化のせいでしょうか。また土地柄、高温多雨で四季が明確ではありませんので、植物の成長は比較的早く、街中に豊かな緑陰が存在します。夏には40度近くに上がる日もあり、人々にとって街路樹や公園樹はなくてはならない存在となっています。
「新型コロナウイルス(以下、コロナ)」の影響は、台北の市民活動に大きな影響をあたえています。台湾ではいち早く2月初旬から市民活動を制限したため、市中は急に閑散としてしまいました。特に3月29日の入国制限措置後は、市内在住の外国人にとっては警戒心の高まりの影響もあり市民生活を送る上で厳しい状態が続いているようです。
いち早い入国制限措置のおかげで、市中感染は発生しませんでした。従って4月からは開放的な公園に人々が集まるようになり、のびのびと自然を満喫する姿が見られています。台湾には数少ない落葉樹からは新緑が輝き、カンヒサクラやワタノキ、イペー等様々な花が満開となり、公園の中ではコロナを忘れさせてくれるほど穏やかな状態が続いています。
5月からは制限も少しずつ解除になり、繁華街には人が集まるようになっています。
しかし、これまで見られていた有名な飲食店での外国人の長い列は見られず、台湾人だけで混雑する一昔前の光景に戻った感もあり、何だか懐かしい一面も感じています。
これまでハイスピードで進んできた国際化や都市化に、コロナは大きくブレーキをかけました。「都市への集中から、地方への分散」という大きな変化を強要するコロナは、都市の存在意義すら危うくするほどの影響を及ぼしています。
その中での豊かな緑の存在は、人々への癒しの提供だけでなく、しっかりと街の空間形成に役立つエッセンシャルな存在であることを認識させられた次第です。一日も早く終息することを願うばかりです。
2020年5月10日