コロナ禍のアメリカ西海岸から
一般社団法人グリーンインフラ総研(LA在住) 顧問 坂井 伸光
アメリカで2番目に人口の多いロサンゼルス。シリコンバレーと呼ばれ世界を席巻するIT企業がひしめき合うサンノゼやアメリカで最も住宅価格が高い人気の街サンフランシスコと隣接するロサンゼルス市、今後も増え続けることが予想されるサンノゼ近郊は、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる巨大IT企業が緑に囲まれた新本社を建設中です。アメリカ西海岸は今後もますます発展していくことが予想されます。
そんな中、コロナウイルスが街から人の気配を奪い、毎日賑わいを見せていた繁華街の機能は完全に麻痺しました。3月中旬から続くロックダウンで、経済活動は強制的に止められ、人々は自宅で静かにその終息を待っています。しかし、自然は変わることなく輝きを放ち、美しい緑陰や澄んだ空気がコロナ禍で悩む人々にやすらぎを与えてくれます。
5月に入り、ハイキングコースやビーチなどへのアクセスが認められ、人の気配が少しずつ戻ってきました。公園へのアクセスも認められており、人々はやすらぎを求めてソーシャルディスタンスを取りながら、緑陰の下や芝生の上でリラックスした時間を過ごしています。
ロサンゼルスでは、湖に生い茂る水生植物が美しいエコーパークやロサンゼルスを一望できるグリフィス公園で、多くの人が自然浴を楽しんでいました。
サンフランシスコでは、ゴールデンゲートブリッジ近くの芝生が広がるマリーナグリーンでくつろぐ人々や、ピア39やフィッシャーマンズワーフがある海岸沿いの美しい通りを歩く人々がたくさんいました。
ゴーストタウンのような雰囲気がただようハリウッド、サンタモニカ、ユニオンスクエアの観光エリアや、閉鎖されて静けさに包まれたグローバルIT企業の本社が集まるサンノゼ近郊とは対照的な光景に思えました。
今後は、経済活動の再開が段階的に認められていく見込みです。街に以前のような活気が戻るにはまだまだ時間がかかりそうですが、アメリカ西海岸の美しい自然にやすらぎを求めながら、この非常事態が一日でも早く終息へと導かれていくことを願っています。
2020年5月10日